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「上町」「下町」は何を基準に分けられた?地理から読み解く地名の由来

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「上町」「下町」という言葉を聞くと、武士が上で庶民が下、といった身分差を連想する人も多いかもしれません。しかし、地名としての「上・下」は、必ずしも身分の優劣を示しているわけではありません。

実際には、地形・位置・水の流れ・城や街道との関係といった、極めて実務的な基準によって分けられているのです。


基準① 地形の高低差による「上」と「下」

最も多く見られる基準が、土地の高低差です。台地や高台にあるエリアが「上町」、低地や谷沿い、川沿いのエリアが「下町」と呼ばれるケースは全国に見られます。

これは、洪水や湿気を避けるため、重要な施設や居住地が比較的高い場所に置かれたことと関係しています。結果として、自然と「高い=上」「低い=下」という呼び分けが定着しました。

基準② 城下町における城との位置関係

城下町では、城を基準点として「近い側=上」「遠い側=下」とする考え方も存在しました。これは政治・行政の中心である城に近いかどうかが、町の役割を大きく左右していたためです。

ただし、この場合も必ずしも身分差を意味するものではなく、距離や機能の違いを表すための表現でした。

基準③ 川や水の流れによる上下

日本は水運が重要だったため、川の流れを基準にした「上町」「下町」も多く存在します。川の上流側が「上」、下流側が「下」とされました。

物流や物資の集積地として、下流側が栄えるケースも多く、「下町=庶民的」「上町=高級」という単純なイメージは、必ずしも当てはまりません。


江戸の「下町」が特別な意味を持った理由

現在使われる「下町」という言葉のイメージは、江戸(東京)の影響が大きいとされています。江戸では、低地に広がる町人地が経済・文化の中心として発展しました。

そのため、「下町=商人の町」「人情味のある町」というイメージが全国に広まりましたが、これはあくまで江戸特有の事例です。

同じ市内でも意味が異なることがある

「上町」「下町」は全国共通のルールで使われているわけではありません。同じ市内であっても、地域ごとに基準が異なる場合があります。

ある場所では地形、別の場所では川、また別の場所では城との距離が基準になるなど、地名にはその土地ならではの事情が反映されています。

現代に残る上下地名の役割

現在でも「上町」「下町」という地名が残っている地域では、旧街道や歴史的市街地がそのまま保存されているケースが多く見られます。

地名を手がかりに街を歩くことで、過去の町の構造や人々の暮らしを想像することができます。

旅行や街歩きでの楽しみ方

旅行先で「上町」「下町」を見かけたら、「なぜここが上なのか」「何を基準に下と呼ばれたのか」を考えてみてください。地形や川、城跡を意識することで、街の見え方が一段と深まります。


まとめ

「上町」「下町」という地名は、身分差ではなく、自然環境や都市構造に適応するための知恵から生まれました。地名を知ることは、その土地で生きてきた人々の視点を知ることでもあります。

当ブログでは、旅行にまつわる疑問などを分かりやすくご紹介しています。ぜひご覧ください。

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