九州の玄関口といわれている福岡県福岡市の博多駅は、通常の列車だけでなく多くの観光列車も行き来しています。
その中で一際目を惹く列車が、黄金に輝く「或る列車」。
今回はこの「或る列車」に乗車してきた感想と予約方法などを書いていきます。
◼︎「或る列車」とは
1906年、明治期の大手私鉄であった九州鉄道がアメリカに豪華客車を発注したものの、その豪華列車は九州鉄道が国有化されたため、活躍する機会がありませんでした。その豪華列車の通称が「或る列車」。
そんな豪華列車をJR九州が100年の時を越えて現代に蘇らせた列車が、当時の通称と同じ名称を冠した「或る列車」です。
なんと列車にかけた費用は6億円!日本三大クルーズトレインの一つ「ななつ星 in 九州」に次ぐラグジュアリーな空間の中、一流のシェフがプロデュースするコース料理を楽しむことができる列車です。
◼︎料金・予約方法
○料金
運行区間の片道JR、コース料理、ドリンク代等含む料金で、大人 1名35,000円~47,000円。
「ななつ星 in 九州」に次ぐ豪華列車であるだけあって、JR九州の他の観光列車と比べるとかなり高い価格帯となっていますが、豪華な設備や料理などで過ごすひとときはとても贅沢なものであり、料金以上の価値があると言えます。
尚、座席のみの利用はできません。また座席を必要としない幼児・乳児含め、10歳未満の子どもは乗車不可となっていますので、ご注意ください。
○予約方法
他の観光列車と異なりみどりの窓口などでは購入できず、主に下記2つの方法での予約となります。
① JR九州「或る列車」公式サイトから予約
②旅行会社から予約
①の場合は出発日の5日前まで、②の場合は出発日の10日前まで予約可能ですが、人気のため早めの予約をおすすめします。
◼︎「或る列車」乗車記
今回は鉄道旅仲間と2人で、食事内容を一部変更した2024年6月から8月限定の夏季特別プランに乗車しました。
「或る列車」は2両編成。福岡県・博多駅を出発し、大分県・由布院駅までを走る行程となっています。
○博多駅に入線!
出発のおよそ15分前ごろに入線!
日陰になっていて少し暗いので、外観の観察は後にして早々に乗車することに。
乗車口の前には赤いカーペットが敷かれ、アテンダントがお出迎えしてくれました。
ほんのわずかとはいえ、レッドカーペットを歩く日が来ようとは…最初で最後の経験かもしれない…そんなことを考えながら、いざ乗車!
○豪華な車内を散策
《1号車》
1号車はオープンスタイルの2人席と4人席。豪華列車に相応しいクラシカルで華やか内装にこれからの旅の期待感が高まります。
上を見上げると「ななつ星in九州」でも用いられている美しい格(ごう)天井が。
列車では珍しい厨房設備があり、壁面にはステンドグラスがあったりとまるで高級ホテルにいると錯覚するような豪華さでした。
《2号車》
今回利用したのはコンパートメント(個室) の2号車。1号車が煌びやかで華やかであった印象に対して、2号車は全体的に落ち着いた雰囲気。
個室の広さは同じJR九州の豪華な観光列車「36ぷらす3」の個室と比較すると少し狭かったものの十分快適に過ごすことができる広さです。
中央の通路を挟んで両側に個室。
組子は「ななつ星in九州」でも使用された技術により作られたものとのこと。
個室の窓側も見事で細部までこだわりを感じました。
○美しい車窓とコース料理を堪能!
着席後しばらくするとウェルカムドリンクの佐賀県産完熟みかんジュースが提供されました。とても濃厚で好きな味だったので、由布院に着くまでの間に3杯も頂いてしまいました…。
ドリンクはフリードリンクとなっていて、メニューの中から自由にドリンクを楽しむことができます。
博多駅を出発して少し経った頃に、コースのメインNARISAWAカレーが運ばれてきました。
九州の厳選された食材が使用されていて、とても美味しかったです。
また、食器にもこだわっていて、皿類は使い捨ての紙皿でありながら大変上質な物を使用。グラスやスプーンなどは九州の職人達の技が光る物ばかりで、口ざわりがとてもよく感動しました。是非購入して家でも使いたいと思いネットで検索するとその値段にびっくり…とても高価なものでした。
2品目のスイーツは程よい甘さと酸味でした。この後3品目にミニスイーツも頂きました。
スイーツを頂いている頃、列車は一級河川の筑後川上を通過。これから列車は久留米駅にて鹿児島本線から久大本線へと進路を変え、九州のほぼ中心部を東に横断して行きます。
緑豊かな車窓を眺めながら福岡新川の緑地を1杯。
列車は田主丸駅でしばらく停車。
カッパの見た目をしたユニークな駅舎はインパクト抜群。この駅舎、1992年に浮羽工業高校の生徒のデザインをもとにできたのだとか。
陽当たりも良く黄金の車体が映えていたので、ここで外観をご紹介。
金と黒を基調とし唐草模様をあしらったデザインは、鉄道模型の大家として世界的に有名な故・原信太郎氏による模型を元に、水戸岡鋭治氏らが設計したもの。JR九州の列車といえば水戸岡鋭治氏と連想する人も多いのではないでしょうか。
田主丸駅を出発した後、列車は美しい山や川をの中をひた走り、博多駅を出発して約3時間後に終点の由布院駅に到着。
豪華な設備にこだわりのコース料理、洗練されたアテンドサービスなどとても優雅な列車旅を楽しむことができました。
何度も気軽にリピートできる料金ではありませんが、是非また機会があれば乗車したいと思います。
さいごに
当ブログでは、様々な列車の乗車記や旅行にまつわる疑問などを分かりやすくご紹介しています。ぜひご覧ください。